
美術批評/現代思想誌「Infans」(年3回発行,定価400円)
nfans 02号 10月20日発売予定
■特集■「歩行・移動」
「歩行」または「移動」をテーマに,評論家,学芸員,作家らが独自の美術評論を展開。
■連載■評伝 シドニー・リンガー〜リンゲル液を作った男
井上リサの執筆による,点滴のリンゲル液を発明した19世紀イギリスの天才生理学者シドニー・リンガーの伝記。
●主な執筆陣(50音順)
井上リサ(アーティスト,医学史研究家)
江尻 潔(足利市立美術館学芸員)
遠藤 健(『ダイレクト』編集部)
大橋浩美(草月美術館学芸員)
岡部信幸(山形美術館学芸員)
熊谷直也(編集者)
篠原誠司(Gallery ART SPACE)
服部 正(兵庫県立近代美術館学芸員)
三谷理華(福岡市美術館学芸員)
●発行所
Gallery ART SPACE
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-5-4F
TEL/FAX 03-3402-7385
●誌名「Infans」について
本来「インファンス」とは,精神分析的主題の一つであり,それは,エディプス・
コンプレックス以前のいまだ言語を知らない幼児期を指す。しかし,フランスの思想家ジャン=フランソワ・リオタールは,人生の過ぎ去ってゆく一時期ではないものとしての幼児期,つまり自らを語らぬものという意味において「インファンス」という言葉を用いた。
彼によれば,それはカフカが「疑いなきもの」と呼び,サルトルは「文節不可能なもの」,ジョイスは「私有不可能なもの」,フロイトは「幼児的なもの」,ヴァレリーは「無秩序」,アーレントは「誕生」とそれぞれ別の名で呼んだものである。《偉大な者》たちが書けないものを書こうと苦しみながらテキストによって宙づりにしているそのもの=「インファンス」。
ところで私たちが美術を巡って書こうとしている言葉も,「結局は語りえないもの
」について,たえず失敗しながら言語=世界へ向けて誕生させようとしている幼児のようなものだ。個々の美術表現から受ける試みは,言語以前の《身体的なもの》《感覚的なもの》《感性的なもの》をエクリチュールという行為によって表現する試みは
,私たちと作品との切り結ぶ地点を探査することでもあるだろう。(編集責任者・熊谷直也)
●「Infans」創刊にあたって
「Infans」は,批評者が自分の精神を開放することができるような自由な発言の場を提供することや,そうした場を通して,鑑賞者と作品とがより理想的な形で出会うことができるような契機をつくることを目的としていると共に,主な執筆者を,発行人の篠原自身と同世代の30歳前後の者とするという基本的方針によって編集される。
それは,非常に多様化した現在の美術表現を何らかの共通した意識をもって論じようとした場合に,ジャンルや地域性などでは今の日本の美術の状況を括り切れるはずもなく,その際により強く信じることができるものは,同じ時代を同じ年数だけ美術にかかわりながら生きてきた者としての一種の連帯感なのではないだろうかと思えるからである。
そして,この「同世代」という意識を起点とした批評者のネットワークを構築していくことこそ,「インファンス」を発行する最大の意義なのである。(発行人・篠原誠司)