![]() 『愛の部屋』水戸芸術館 プライベートルームIIより |
山本香はラブホテルを舞台にしたセルフポートレート、《愛の部屋》シリーズを制作している。 ラブホテルは文化として確かに存在するけれども、健全な日常生活のなかでは 語られることの少ない日陰の存在である。しかしその内装や外装には、日本独特と言ってもいいようなキッチュなセンスが凝縮している。 文化誌的にも興味深いテーマであるが、彼女のねらいは、たんなるラブホテルのカタログを作ることではない。 部屋ごとにいろいろなイメージの女性に自ら扮装し、そこで行われるであろう男と女の愛の物語を 独りで演じ、自ら撮影しているのだ。彼女が選ぶのは、「ファッションホテル」と呼ば れるような今風のラブホテルではなく、少しうらぶれた部屋に来ている、不倫している OL、援助交際の女子高生、娼婦といった、どこか翳りをもった女性たちだ。その虚ろな 表情は「見られる性」「消費される性」としての彼女たちの立場を暗示しているかのよ うである。浅井俊裕